この度、令和4年7月24日に開催致しました、第14回東海障害者歯科臨床研究会学術大会および総会におきましては、多数の方がご参加くださり誠に有難うございました。お陰様で、午前の部日本障害者歯科学会認定医講習会は231名、午後の部特別講演およびシンポジウムは219名のご聴講を頂き、学術大会を無事終了することが
今大会の運営にあたりましては、初めてのオンライン開催となり不行届きの点も多々ありご迷惑をおかけしましたが、何卒ご寛容下さいますようお願い申し上げます。
午前の部 10:05~11:40 〇日本障害者歯科学会・認定研修会
〇基調講演:「食べる、口腔ケアの困難性を感覚から考える
ー障害者歯科臨床と異なる立場からー」
講師:石黒 光先生(元愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科部長)
座長:岩瀬 陽子先生(朝日大学口腔病態学障害者歯科学講座教授)
午後の部 13:00~16:40
〇特別講演:13:30~14:30
「チーム医療における多職種連携のコツ」
講師: 門野 泉先生(愛知県医療療育総合センター 整形外科 医長)
「チーム医療の中での各職種の役割」
座長:門野
泉先生 榊原裕子 先生
1)「一般開業医におけるICTを通じた歯科衛生士の関わり」
宮本佳宏先生(医療法人 一栄会 結デンタル院長)
2)「2次医療機関での歯科衛生士の役割」
黒田亜美先生(名古屋北歯科保健医療センター 主任歯科衛生士)
3)「病院におけるチーム医療での歯科衛生士の役割」
田中恵先生(愛知県医療療育総合センター中央病院 主任歯科衛生士)
4)「一般開業医での栄養士の役割」
宮部夏実先生(医療法人博芳会 認定栄養ケア・ステーションごはんのおとも 管理栄養士)
豊田こども発達センター
障害児、者を取り巻く医療の中で、チーム医療は不可欠です。今回、歯科衛生士が様々な環境の中でどのようにチーム医療の一員とし、働いているのか興味があり参加させていただきました。
門野先生のご講演については、チーム医療がさらに発展できるような考え方、またリーダーやコミュニケーションの大切さをとてもわかりやすい例えを挙げてくださり、チームの協働について楽しく学ぶことができました。
宮本先生は訪問診療でのICTの実際の活用についてのご講演でした。今後ICTを利用することで他職種との連携が簡便化され、障害児、者の体調の管理の把握も容易となり、また歯科衛生士の訪問先の幅も広がることなど、今後の可能性を感じました。ICTは知らない分野でしたので大変勉強になりました。
黒田先生については二次医療機関で働く歯科衛生士として、役割と思いの共感する部分が多く感じられました。一次医療機関で困難な事例、また三次医療機関との橋渡しをすることで、障害児、者がスムーズに処置できる環境を整えることなど、自分自身が行なうべきことを改めて考える良い機会となりました。
田中先生のご講演では、病院での歯科衛生士の役割について、自分達が行うべき役割分担が明確に提示されており、他職種と関わりを持つ際にチーム全体がお互いの役割分担ができていることから、対応も早急かつスムーズに進めることができることが分かりました。
宮部先生は一般開業医に併設しているステーションでの管理栄養士としてのご講演でした。「安全に、おいしく、楽しく食事を食べる」ことは子どもから高齢者までニーズが高く、一番身近にある一次医療機関の現場でも多くの相談があると推察します。今回のお話の中では調理実習を通しての偏食の改善、本児の口腔機能に合わせた食形態の提案と他職種連携でした。このように一次医療機関などの身近な場所で提供できることが今後大切であると非常に感じました。一般開業医からの管理栄養士のニーズは高いと聞いていましたので、非常に興味深く学ばせていただきました。しかし管理栄養士さんの在籍は患者さんにとって良い点も多いですが保険請求の問題点もあることから、今後は医療現場で求められることがしっかりとした形(保険請求)になっていけるようになることを期待し願います。
今回の先生方のご講演は自分が知らなかったことも沢山あり、新鮮で大変刺激をうけました。参加させていただき感謝いたします。
参加者の感想②
野々山歯科医院
歯科衛生士 山田一乃
普段往診という形で在宅に関わっていることもあり、連携についてついてと思い、参加させていただきました。
歯科医院への依頼があるのはケアマネージャーさんから往診の依頼、という形がほとんどでう蝕や義歯の調整といったケースが多いのですが、実際にお邪魔すると口腔内が崩壊していることも多々あります。そういったケースではご家族やケアマネージャーさんと相談を重ね、歯科衛生士の訪問へとつなげていくこともあります。その際の連携は「連絡ノート」という形で、今回のようなICTとはまだまだほど遠いな、と感じました。
基礎疾患から在宅のみの管理では難しい患者様には急性期病院の地域連携室との歯科-歯科連携をとるなど、痛みなく安心して在宅で過ごしていただくためにそういった連携も必要だと感じています。職種ごとの境界線については、共感できる点も多々ありました。
お腹にいる時の感覚入力から始まり、終末期在宅での時間。最期まで人は孤立ではなく人と関わり合っています。関わる職種、メンバーを知り、垣根のない情報共有を意識していこうと感じました。
質問したいことはいくつかありましたが、パソコンのQ&Aへの入力に時間がかかり、できなかったことが残念でした。
参加者の感想③
医療法人義興会 可知記念病院
歯科衛生士 岩瀨賀惠
第14回東海障害者歯科臨床研究会学術大会および総会に参加して
令和4年7月24日(日) 第14回東海障害者歯科臨床研究会学術大会および総会に参加させていただきました。
私は精神科病院に勤務して19年目になります。歯科設立に伴い入職し、初めの10年は一般歯科診療が中心で
多職種との関わりを実感したのは病棟に入るようになった7~8年前からです。口腔ケアや摂食嚥下を通して多職種連携の強みに感謝しつつも他職種との関わり方に困惑することが多々あり、今回のテーマ「チーム医療の中での歯科衛生士の役割」はとても興味を引くものでした。
午前の部の石黒光先生のご講演では、「感覚」をKeywordとし「成長・発達」を見ることが重要であると、しばらく小児から遠ざかっている私に改めて考える機会をいただきました。
午後の部の門野泉先生のご講演は、チーム医療が音楽に例えられ、わかりやすく置き換えることができました。チームが協働するためのコミュニケーションの必要性、リーダーの役割やコーチング技法など様々なコツをご紹介くださいました。今後の課題も見え、大変勉強になりました。シンポジウム「チーム医療の中での各職種の役割」では、4名の先生方がご講演されました。
宮本佳宏先生は、ICTを活用してチーム医療を円滑に進めておられます。情報を共有することで多職種が離れていても近い距離で連携をとり、できることをフォローし合う、とても良い関係が築けていると感じました。グローブに描かれた顔がかわいらしくて、いろいろ工夫されているところも見習いたいと思いました。
黒田亜美先生は、冒頭に「断らない歯科医療」を掲げ「2次医療機関での歯科衛生士の役割」と題して地域社会との関わり、歯科衛生士としての思いをお話してくださいました。充実した業務に高い知識や技術が求められると思いますが、一層高い志を持たれており感銘を受けました。田中恵先生のご講演は、私自身の職場と重なるところもあり興味深く聞かせていただきました。多職種で評価・カンファレンスを行い、役割分担を明確にすることでスムーズな介入に繋がると理解しました。加えて、家庭や施設との情報交換・情報提供には、手帳や電子@連絡帳などのツールやICTを活用し、院内の連携のみならず地域との関わりも構築されており大変勉強になりました。
宮部夏実先生は「一般開業医における管理栄養士の役割について」お話してくださいました。私自身は、認定栄養ケア・ステーションという食支援の拠点や栄養指導に関しても知識が乏しいため、指導内容や方法、使用媒体に至るまで大変勉強になりました。歯科医院における管理栄養士の役割は幅広く、これからも必要です。今後、保険上の問題など課題が解決されていくことを願います。
シンポジウムを通して、私のなかのチーム医療はまだまだ狭く浅いものだと感じました。多職種連携では専門性を活かし、コミュニケーションをとり、互いに支援する関係を築くこと。そして地域に繋げること。私なりの課題が見つかりました。
今回、東海障害者歯科臨床研究会学術大会および総会に参加し大変勉強になりましたこと感謝いたします。最後に東海障害者歯科臨床研究会の益々のご発展をお祈り申し上げます。